大学進学の県外流出をデータで見る|18歳はどこへ動くのか

進学期の人口移動は、ごく一部の都道府県に集中している。15〜19歳が転入超過なのは47都道府県のうち12都道府県にとどまり、残る35都道府県は転出超過である。人数ではなく人口あたりの率で並べ直すと、首位は京都府で、東京都がこれに続く。20代後半から30代前半で戻ってくる動きは、本稿が使う純移動のデータでは見えてこない。

進学期の人口移動はどれだけ大きいか

使うのは住民基本台帳人口移動報告の年齢5歳階級別の転入超過数で、2025年の値である。記録されるのは国内の都道府県間移動だけ、外国人を含む移動者の総数ベースで、国外との出入りは入らない。この統計の最小の年齢区分は5歳階級なので、18歳だけを取り出すことはできない。本稿が「進学期」と呼ぶのは15〜19歳という幅のある集団で、高校進学や家族の転居にともなう移動も混ざる。

転入超過側の12都道府県を合計すると30,826人になる。都道府県間の移動だけなので全国では相殺され、この値は流出側から出ていった純移動の総量にあたる。うち東京都が12,944人、割合にして42.0%を占める。

同じ年の20〜24歳では転入超過県の合計が91,944人と15〜19歳より大きい。2015年の36,540人と比べると人数は減っているが、この間に15〜19歳の人口そのものも減っているので、人数の減少の一部は母数の縮小による。

15〜19歳の転入超過率で47都道府県を並べる

人数のままでは人口規模の大きい都府県が上位に並ぶだけで、同年代のどれだけが動いたかが分からない。そこで転入超過数を人口で割る。分子は2025年の15〜19歳の転入超過数、分母は人口推計の2024年10月1日現在の15〜19歳人口(公表単位は千人なので率は概数である)。1,000人あたりに直した値(‰)を本稿では転入超過率と呼び、率が負であれば転出超過を意味する。

47都道府県の15〜19歳の転入超過率(2025年、15〜19歳人口1,000人あたり)

率の上位・下位の県

首位は京都府の25.4‰、次いで東京都が23.5‰である。以下は神奈川県・大阪府・埼玉県と続き、上位5県の下限が7.9‰である。人数で並べたときの最大は東京都で、神奈川県・大阪府が続く。人数と率で首位が入れ替わるのは、分母となる15〜19歳人口の規模が県によって大きく違うからである。上位の顔ぶれは大学の立地と重なるようにも見えるが、この統計は移動の理由を記録していないので、そこまでは確かめられない。

反対に率が最も低いのは鹿児島県の-38.1‰で、人数では-2,669人にあたる。秋田県・宮崎県・青森県・長崎県がこれに続き、5県はいずれも-26.0‰以下に位置する。

流出は戻ってくるのか — Uターンの限界

15〜19歳の転出超過率が高い5県の年齢階級別転入超過数(15〜19歳・20〜24歳・25〜34歳、2025年)

15〜19歳が転出超過だった35都道府県について、同じ年の上の年齢階級を見る。15〜24歳の転入超過は合計-103,393人、続く25〜34歳(25〜29歳と30〜34歳の和)は-32,219人である。どちらも負、すなわち転出超過である。15〜24歳の転出超過を分母に、25〜34歳の転入超過を分子に取った比は-31.2%になる。符号が負なのは戻りがあったからではない。25〜34歳でも出ていく側が多く、その大きさが15〜24歳の転出超過の何%にあたるかを表している。

25〜34歳が転入超過に転じている県は、35都道府県のうち3都道府県(千葉県・愛知県・沖縄県)だけである。転出超過率が高い5県に限っても比は-19.9%で、やはり負のままだった。

読み方には限界がある。この統計が持つのは転入と転出の差、つまり純移動だけで、個人を追跡していない。しかも比べているのは同じ年の別の年齢集団であって、同じ世代のその後ではない。だから「進学で出た人が戻ってこない」とは言えない。言えるのは、戻る人より出ていく人のほうが多い状態が25〜34歳でも続いている、ということまでである。

よくある質問

専門学校や就職にともなう移動も含まれるのか。 含まれる。移動報告は転入届にもとづく集計で、移動の理由を記録していない。進学・就職・家族の転居を区別できず、15〜19歳には高校進学にともなう移動も入る。

率の分母はいつの人口か。 人口推計の2024年10月1日現在の15〜19歳人口である。分子は2025年1年間の転入超過数で、移動が起きる年の期首に近い人口を分母に取っている。

進学の統計としてよく引かれる学校基本調査とは何が違うのか。 学校基本調査は大学入学者を出身高校の所在地で数えるので、進学だけを切り出せる。ただし数えるのは入学者で、転居ではない。本記事の移動報告は住民票の異動を年齢で切るため、対象も件数も一致しない。

まとめ

進学期の転入超過は12都道府県に集中し、人口あたりの率で並べ直すと人数の順位とは違う顔ぶれが上位に来る。そして15〜19歳が転出超過だった県では、25〜34歳になっても差し引きで出ていく側が多い。純移動のデータなので、それが誰の移動なのかまでは分からない。

都道府県ごとの社会増減は社会増減率ランキングで確認できる。ツール自体の紹介は人口カルテ47にある。

参照: 出典は住民基本台帳人口移動報告(総務省統計局)e-Stat 統計表 0003423633「年齢(5歳階級),男女別転入超過数-全国,都道府県,3大都市圏(移動者,日本人移動者,外国人移動者)」の2025年次集計。率の分母は同「人口推計」の都道府県・年齢5歳階級別人口(2024年10月1日現在)。集計・確認日 2026-09-23。