外国人人口の都道府県別推移|地方の労働力をどこまで支えるか
日本人の生産年齢人口が減った分を、外国人の増加はどれだけ埋めているのか。2016年から2024年の全国では、日本人の15〜64歳の減少に対する外国人の増加が31.7%にあたる。ただし地域差は大きく、下位5県では5.0%以下にとどまる。以下は人口推計による自前集計で、扱うのは人口であって就業者ではない。
外国人人口の推移と分布
使うのは総務省統計局の人口推計、都道府県別・年齢3区分・国籍別の各年10月1日現在の値である。公表値は総人口と日本人人口で、「外国人」はその差を指す。
全国の15〜64歳は、日本人が7,501.9万人から7,070.6万人へ、外国人が165.4万人から302.2万人へ動いた。15〜64歳に占める外国人の割合は2.2%から4.1%に上がった。
前年からの増減を見ると、日本人の側はどの年も減少している。外国人の側は増加が続くが、2020年は57千人の増加に鈍り、2021年は-37千人と減少に転じた。国境を越える移動が制限された時期と重なるが、統計は移動の理由を持たない。減少の1本は補間補正人口と推計の境目(2020→2021年)をまたぐため、他の年と同じには読めない。
2024年に15〜64歳に占める外国人の割合が高いのは東京都6.6%、群馬県6.2%、岐阜県5.6%、愛知県5.4%、三重県5.3%の順である。期間で見れば、外国人の15〜64歳が減った県は0県である。
生産年齢人口の増減への寄与率を計算する
計算式の定義(日本人増減と外国人増減の分解)
2016年から2024年までの15〜64歳人口の増減を、都道府県ごとに日本人と外国人に分ける。総数の増減は両者の和なので、日本人が減り外国人が増えた県では、増加が減少をどこまで打ち消したかを比で表せる。見出しの寄与率はこの比のことで、以下では相殺率と呼ぶ。
相殺率 = 外国人(15〜64歳)の増加 ÷ 日本人(15〜64歳)の減少の絶対値 × 100
全国では日本人の増減が-431.3万人、外国人が136.8万人、合わせた総数が-294.5万人で、相殺率は31.7%になる(負の値は減少)。起点を2019年に取り直しても29.0%で、大きくは動かない。
分母が正でなければ比は意味を持たないので、日本人が減っていない地域では定義しない。日本人の15〜64歳が増えたのは東京都だけで(増減223千人)、外国人の増加数254千人は全国最大だが相殺率は計算しない。ランキングの対象は、丸めの影響を避けて日本人の減少が1万人以上の46都道府県に絞った。
最も高いのは神奈川県の147.9%で、日本人の増減-71千人に対し外国人が105千人だった。100%超、つまり外国人の増加が日本人の減少を上回った県である。15〜64歳の総数が増えたのは2都道府県で、うち日本人が減りながら総数を増やしたのは神奈川県だけだった。以下は大阪府85.7%、埼玉県82.8%、千葉県75.5%、愛知県69.3%と続く。
ただし高い県はごく一部である。対象46都道府県の中央値は14.8%で、50%以上は5都道府県、20%に満たない県が29都道府県ある。全国値31.7%が中央値を大きく上回る理由は二つある。相殺率が高い県は少数で分布が偏っていること、そして全国値は日本人が増えた東京都を含むことである。対象46都道府県の合計どうしの比は24.4%にとどまる。
寄与率が高い県・低い県の背景
上位は大都市圏に集中している。神奈川県・大阪府・埼玉県・千葉県・愛知県はいずれも三大都市圏に属し、日本人の減少に対して外国人の増加が近い規模で起きている。
外国人の割合で見た上位には群馬県・岐阜県・愛知県・三重県が並ぶ。製造業の集積地として知られる県だが、本稿のデータは産業も在留資格も就業状態も持たない。産業構造と結び付ける読みは仮説にとどまる。
相殺率が低いのは秋田県2.1%・青森県2.5%・山形県4.5%・岩手県4.7%の東北4県と、四国の徳島県5.0%である。日本人の減少が大きいこと(青森県は-118千人)と外国人の増加が小さいこと(同3千人)が重なり、どちらも比を押し下げる。増加が小さい理由は、このデータからは出てこない。
よくある質問
在留資格別や国籍別の内訳は分かるか。 分からない。本稿の外国人は総人口から日本人人口を引いた残りで、在留資格も国籍も持たない。
国勢調査や在留外国人統計と数字が合わないのはなぜか。 集計する主体も定義も基準日も違う。本稿の外国人は残差で、公表単位が千人のため差には±1千人の丸めが乗る。出入国在留管理庁の在留外国人統計とは数え方が異なる。
まとめ
日本人の15〜64歳が減った分を外国人の増加が埋めた比率は、全国では31.7%。しかし対象46都道府県の中央値は14.8%で、20%に満たない県が29都道府県ある。効いているのは大都市圏で、東北や四国の下位県ではほとんど効いていない。ここまでは将来推計を含まない、公表値の集計である。
生産年齢人口の割合の推移と都道府県順位は生産年齢人口割合ランキングと生産年齢トピックで確認できる(国籍別は本稿のみ)。ツールの紹介は人口カルテ47にある。
参照: 出典は総務省統計局の人口推計(都道府県別・年齢3区分・男女別人口、総人口と日本人人口)。2016〜2020年は補間補正人口(e-Stat 統計表 0004021110)、2021〜2024年は推計(0003448225)、いずれも各年10月1日現在。外国人人口は総人口から日本人人口を引いた差であり、出入国在留管理庁「在留外国人統計」とは定義が異なる。集計・確認日 2026-09-23。