高齢化率が高い市町村はなぜ高いのか|上位30自治体を3軸で集計した
2025年の国勢調査で高齢化率が最も高い市区町村は群馬県南牧村(人口1,260人)の68.9%だった(全国は29.4%)。上位30を人口規模・可住地・通勤の3軸で集計すると、人口が少なく可住地の割合が低い町村に集中し、外へ通う人の少なさは全体との差が小さかった。上位の多くでは65歳以上の人数も減っており、率を押し上げているのは65歳未満の速い縮小である。以下は公表値による自前集計である。
高齢化率上位の自治体はどこか
高齢化率は、65歳以上人口を総人口で割って100を掛けた値である。本稿は2025年10月1日現在の国勢調査の人口等基本集計(2026-09-29 公表の確定値、2026-10-09 確認)を使い、年齢不詳を補完した不詳補完値で計算した。統計局の公表と同じ扱いである。対象は市町村・東京23区・政令市(区ではなく市全体)の1,741市区町村である。
2位以下は群馬県神流町(64.9%、人口1,317人)、青森県今別町(62.4%、1,888人)、奈良県御杖村(62.0%、1,225人)、福島県飯舘村(61.4%、1,353人)が続く。30位でも55.2%で、市区町村の中央値36.8%を大きく上回る。群馬県南牧村は75歳以上だけで人口の44.8%を占める(全国は17.2%)。
上位30は16都道府県に分かれ、最も多い奈良県が5自治体を占める。大半は町村で、市も含まれる。人口は最も多いところでも12,838人である。
なお上位に入る福島県飯舘村は、東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故で避難指示が出た村である。避難指示の解除後に暮らす住民の年齢構成は、一般の町村とは事情が異なると考えられる。
上位30自治体をクロス集計する
「なぜ高いのか」を統計で確かめるため、上位30が次の3条件に当てはまるかを数え、全体と比べた。
- 人口規模: 2025年の総人口が5,000人未満
- 可住地の割合: 可住地面積が総面積の20.0%未満(2024年度)。可住地面積は、社会・人口統計体系の定義では総面積から林野面積と主要湖沼面積を除いた面積である
- 外との結び付き(都市圏アクセスの代理): 他の市区町村へ通勤・通学する人が総人口の10.0%未満(2020年、原数値。政令市は市内の他の区への通勤・通学を含む)
3軸目は代理指標である。都市圏とのアクセスを直接測る統計が無いため、通勤・通学で外とつながる度合いで代わりに見た。距離や所要時間を測った値ではない。分母が総人口なので、高齢化率が高いほど低く出やすい。閾値は説明のために置いた区切りで、公的な基準ではない。
3軸での分類結果
上位30のうち、人口の条件に当てはまるのは25自治体(83.3%)、可住地の条件は23自治体(76.7%)だった。全体ではそれぞれ18.4%・20.1%で、上位は4.5倍・3.8倍の割合で当てはまる。人口が少なく、林野などが大半を占める(可住地の割合が低い)自治体に大きく偏っている。2条件をともに満たすのは19自治体である。
一方、外へ通う人の条件に当てはまるのは10自治体(33.3%、全体は19.4%)で1.7倍にとどまり、3条件すべてを満たすのは5自治体だけだった。閾値を15.0%にすると19自治体に増えるが、倍率は2.0倍で前の2軸より小さい。人口5,000人未満の市区町村全体でも外へ通う人の割合の中央値は13.2%で、上位とほぼ変わらない。
| 指標 | 上位30の中央値 | 全体の中央値 |
|---|---|---|
| 総人口(2025年) | 1,569人 | 21,505人 |
| 可住地の割合(2024年度) | 12.8% | 42.2% |
| 他市区町村へ通う人の割合(2020年) | 12.5% | 21.9% |
全体で見ても傾向は同じである。人口と可住地の2条件を満たす181市区町村の高齢化率の中央値は45.7%、どちらも満たさない1,252市区町村は34.0%だった。ただしこれは同時に見られる傾向(相関)で、人口の少なさや可住地の狭さが高齢化を引き起こすことを示すものではない。通勤・通学の流れを都道府県単位で数えた分析は昼夜間人口比率の記事にある。
高齢化「率」の罠 — 分母の縮小
高齢化率が上がったと聞くと、高齢者が増えたと受け取りやすい。しかし率は65歳以上(分子)と総人口(分母)の比なので、分母が分子より速く縮めば、高齢者が減っても率は上がる。
2020→2025年に、上位30のうち29自治体で65歳以上の人数が減り、そのうち26自治体は高齢化率が上がった。上位30の合計の増減率は、65歳以上が-11.7%、総人口が-16.0%である。65歳未満は-21.2%と、それより大きく減った。率を押し上げたのは高齢者の増加ではなく、若い世代を含む65歳未満の縮小である。
全国では65歳以上の増減率が0.3%と高齢者はわずかに増え、総人口は-2.5%だった。市区町村では、比べられる1,740市区町村のうち1,104市区町村で65歳以上が減り、そのうち994市区町村で率が上がった。2020年の国勢調査で常住者がいなかった福島県双葉町は比較から除いた。
上位で65歳以上が減らなかったのは福島県飯舘村だけである。帰還や転入、65歳への到達が重なった時期にあたると考えられるが、統計からは理由までは分からない。
よくある質問
限界集落とは何か。 社会学者の大野晃が提唱した言葉で、65歳以上が半数を超え、共同生活の維持が難しくなった集落を指す。市区町村をこの言葉で呼ぶものではなく、集落ごとの状況は本稿の統計では分からない。市区町村全体で65歳以上が半数以上なのは116市区町村である。
若い世代の流出との関係は。 上位では65歳未満の縮小が率を押し上げている(前節)。ただし本稿のデータは増減を転出入と出生・死亡に分けておらず、流出の効き方は分からない。
まとめ
2025年の高齢化率上位30は、人口が少なく可住地の割合が低い町村に集中していた。外へ通う人の少なさは全体との差が小さく、3条件すべては5自治体にとどまる。上位の多くでは65歳以上も減っており、率の上昇は65歳未満の縮小を映している。
都道府県単位の高齢化率は高齢化率ランキング、高齢化の全体像は高齢化のトピック、75歳以上は後期高齢者のトピックで確認できる。ツールの紹介は人口カルテ47にある。
参照: 出典は総務省統計局の国勢調査。年齢別人口は2025年(人口等基本集計、e-Stat 統計表 0004066183、2026-09-29 公表の確定値)と2020年(e-Stat 統計表 0004019309)の不詳補完値で、各年10月1日現在。可住地面積・総面積(2024年度)は社会・人口統計体系 市区町村データ(e-Stat 統計表 0000020202)、他市区町村で従業・通学する人と総人口(2020年国勢調査、原数値)は同データ(e-Stat 統計表 0000020201)による。対象は令和7年国勢調査の区分による市町村・東京23区・政令市(市全体)。高齢化率・各割合・中央値・条件の該当数・増減率と順位は本稿の集計。集計・確認日 2026-10-09。照合に用いた公表資料は総務省統計局「令和7年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要」 https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2025/kekka/pdf/outline_01.pdf (確認日 2026-10-09)。本稿の数値と図は、上記の統計(政府統計の総合窓口 e-Stat で公開)を基に doand.tech が加工して作成したもので、国が作成したものではない。